2025年3月17日|予算特別委員会・市民文化局
札幌国際芸術祭(SIAF)は、3年に一度、札幌を舞台に開催される国際的な芸術祭です。芸術文化を通じて札幌の魅力を発信するとともに、市民が新しい表現や価値観に触れ、作品の鑑賞や制作、運営などに参加する機会にもなっています。
一方、3年に一度の開催だからこそ、芸術祭が開かれていない期間に、市民とのつながりをどのように保つかが問われます。雪まつり会場で偶然デジタルアートを目にしたり、子どもが学校の授業で作品づくりに参加したりする。こうした身近な入口がなければ、国際芸術祭は「数年に一度、どこかで開かれるイベント」のままになってしまいます。
札幌国際芸術祭を札幌に根付かせるには、開催期間中の盛り上がりだけでなく、開催のない年にも市民が芸術に触れ、関わり続けられる仕組みが欠かせません。私はこれまで、開催年以外の取組を充実させるとともに、札幌で活動する人材や団体との連携を深めていくことが必要だと考えてきました。
こうした問題意識を踏まえ、3月17日の市民文化局に対する質疑では、SIAF2027に向けた市民参加の取組と、地元人材を生かした運営体制について質問しました。
雪まつりを、芸術祭への身近な入口に
SIAF2024は来場者から高い評価を得た一方、一度の開催だけで市民の認知や関心を定着させることは容易ではありません。次回の開催までの期間に、芸術祭との接点をどのようにつくり続けるかが課題となります。
市からは、2024年度に、開催年以外にも芸術祭を知ってもらうため、雪まつり会場でプレイベントを実施したとの答弁がありました。映像やデジタル技術を使った親しみやすいメディアアート作品を展示し、市民ボランティアが作品を案内したほか、小学校の出前授業で子どもたちが制作したデジタルアートを大画面に投影したとのことです。
また、教育関係者や企業と連携し、ドローンや生成AIを活用したワークショップなど、今後のプログラムづくりに向けた実証も行われました。多くの市民が訪れる雪まつりと連携し、芸術に詳しくない人や子どもたちにも参加の機会を広げたことは、評価できる取組です。
開催のない年にこそ、関わりを積み重ねる
芸術祭への関心を持続させるには、広報によって次回の開催を知らせるだけでは十分ではありません。作品を見たり、自ら制作したり、作品を案内したりする体験を通じて、市民が芸術祭に関わる機会を積み重ねていくことが大切です。
雪まつりなど、すでに多くの市民が参加しているイベントとの連携は、そのための有効な方法です。私は質疑を通じて、2024年度の取組を一度限りで終わらせず、開催年以外にも市民が参加できる機会を継続的に確保するよう求めました。
地元人材が中心となる運営体制へ
SIAF2027に向けては、これまでのゲストディレクター制から、複数のディレクターが役割を担う「ディレクターチーム制」への移行が示されました。新しい体制では、小川秀明氏が全体を統括するとともに、札幌在住の3名のディレクターが参画し、地域との結びつきを強めた運営が期待されます。
市からは、準備を進める2025年度に、SIAF2027のテーマやコンセプトをできるだけ早く決定し、それに基づく展示やプログラムの展開に向けて、主要会場の選定などを進めるとの答弁がありました。地元人材を積極的に登用し、専門スタッフやキュレーターとともに運営体制を強化していく考えも示されました。
札幌で活動するディレクターが運営の中心に加わることは、芸術祭を地域に根付かせる上で大きな一歩です。一方で、地元との連携を一部の運営人材の登用だけにとどめず、札幌のアーティストや文化団体、教育機関、企業などが持つ知識やネットワークを、事業全体に生かしていくことが求められます。
これまで関わりの少なかった人にも参加の機会を
新しい運営体制を、芸術祭に関わる人の裾野を広げる機会にすることも欠かせません。これまで芸術祭との接点が少なかった市民や、参加する機会を得られなかったアーティストにも、制作や運営、作品案内など、多様な形で関われる仕組みを整える必要があります。
市からは、2024年度の取組を検証しながら、関連イベントや広報活動を継続し、冬をピークとして芸術祭に向けた機運を高めていくとの答弁がありました。今後は、イベントの実施回数や参加者数だけでなく、新たにどのような市民や地元人材が関わるようになったのか、その参加が次の活動にどうつながったのかという点も確認していく必要があります。
札幌国際芸術祭が、開催期間だけ盛り上がるイベントではなく、市民が日常の中で芸術に触れ、札幌の人材が継続的に育ち、活躍できる文化事業となることが大切です。
今後も議会で、開催年以外の市民参加の機会がどのように広がっているのか、地元のアーティストや専門人材が企画や運営にどのように参画しているのかを確認し、「札幌の芸術祭」として地域に根付く取組を後押ししていきます。
