2025.01.05

2024年第3回定例会のご報告②(決算特別委員会の質問内容)

定森ひかるが2024年第3回定例会の決算特別委員会で質問をしたテーマについて概要となります。どのような問題意識で質問をしたのか、提案内容も含めてお伝えします。各質問は、札幌市議会のHPから録画映像を見ることができます。 2024年第3回定例会録画:https://sapporo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=gikai_days_list&gikai_id=206

10/11 環境局  「円山動物園の「オランウータンとボルネオの森」と「環境教育」」

2024年の5月にオープンした「オランウータンとボルネオの森」

円山動物園では、老朽化の進んだ類人猿館を改築した、新施設である「オランウータンとボルネオの森」が今年の5月にオープンしました。屋内展示場は高さが8メートルもあり、これによって一生のほとんどを樹上で生活するオランウータンが、木々の間を移動するという本来の能力や行動が発揮できます。来館者は動物本来の行動に近い姿を見ることのできるようになっています。

円山動物園における「環境養育」

円山動物園は開園100年目となる2050年を見据えて、今後の進むべき道をまとめた「ビジョン2050」を定めています。そのビジョンには「動物福祉」を根幹に、「生物多様性の保全」とともに「教育」が大きな取り組みの柱として掲げられています。世界各地の生きた野生動物種を飼育展示する動物園だからこそ、世界の現状や保全の必要性を伝える発信基地となることができるといえます。

札幌市円山動物園基本方針「ビジョン2050」 →https://www.city.sapporo.jp/zoo/info/keikaku/documents/zensho.pdf

円山動物園はコロナ禍による臨時休園や来園者の人数制限によって2021年には40万人を下回ることになりました。コロナ禍による影響が緩和されるにしたがって、2022年度は約74万人、2023年度は約86万人という数まで来園者数が増加しています。ビジョンにも掲げている「環境教育」を増加する来園者にどのように提供できるかが一層重要になってきます。

定森ひかるの「質問」と「提案」

「オランウータンとボルネオの森」は館内に入ると空気が湿っており、定期的にスコールが降るなどオランウータンが生息しているボルネオ島の熱帯雨林の気候を再現しています。オランウータンは減少している動物であり、その原因は生息環境の変化が大きいとも言われています。

そこで、定森ひかるからは、オランウータンとボルネオの森を活用した環境教育の実態を質問しました。市からは、展示やガイドを活用した環境教育を実施していることに加え、学生を対象にしたワークショップを開催して環境教育に努めている旨の答弁がありました。また、市として、動物園全体として、若者や企業向けの環境教育の場として動物園を活用していくことを考えているとの考えも示されました。

私からは、北海道の湿地・湿原の減少が生じている現状に触れつつ、北海道の自然環境の問題にも理解が深まる場としての円山動物園の役割を高めてほしいと要望しました。
質疑の様子の録画はこちら→https://sapporo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=5563

10/17 まちづくり政策局  「「さっぽろ圏」の特徴を活かした関係人口創出事業」

関係人口とは

全国的に過疎地域が増加する中、「関係人口」に対する注目が高まっています。移住等の「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、特定の地域に継続的に多様な形で関わる者を意味する「関係人口」は、まちづくりなどの新たな担い手、将来の移住・定住者として期待されています。
具体的な関わり方としては、地域の祭りやイベントの運営への参画、兼業や副業での仕事、定期的なふるさと納税への寄附などがよく挙げられますが、地域のまちづくり等に多様な関わり方ができるため、関係人口は定住人口よりも拡大しやすいのが特徴といえます。

「さっぽろ圏」での関係人口創出事業

札幌市は、「北海道の発展なくして、札幌の発展はない」との考えのもと、さっぽろ連携中枢都市圏の事業として、さっぽろ圏の若者が道内市町村を訪問し、地域で活動するという関係人口創出事業に取り組んでいます。

関係人口創出に向けた市の取組→https://www.city.sapporo.jp/kikaku/renkei/fulusatorelations/introduce.html

さっぽろ圏は、大学や専門学校などの集積によって、毎年多くの学生らが道外から札幌にやってきます。これらの学生の多くは、就職を機に札幌、北海道を離れるかもしれませんが、在学中に道内自治体との繋がりをもつ機会があれば、定期的・継続的に道内市町村のまちづくりなどに関わる「関係人口」になる可能性を秘めています。
こうしたことから、「関係人口創出事業」は大学等が集積するさっぽろ圏の特徴と関係人口の特徴を活かして道内全体の活性化を目指す意義ある事業と考えます。ただ、本事業の実施から2年が経ち、その成果と課題をしっかりと検証する必要があります。

定森ひかるの「質問」と「提案」

そこで市に対して近年の取組結果とその受けとめについて質問をしました。市からは、町村に継続的にお手伝いに参加する若者がいるなどの成果がある一方で、事業の参加者の少なさを課題としているという認識が示され、事業を見直して参加者を増やしていきたいとの答弁がありました。

定森ひかるからは、関係人口という特性を踏まえると、本事業では参加者数という数のみならず、「地域との関係の質」の向上に向けた取組も必要であることを指摘し、道内自治体のまちづくりへの参画や地域の人たちとの交流などの深い関わりを持つ機会を重要視すべきと主張しました。また、道内の自治体によっては、ふるさと住民票のような関係人口向けの施策に取り組んでいるところもあることから、こうした、関係人口構築に積極的な市町村との協力関係を構築していくことを提案しました。

10/21 デジタル推進局  「区役所窓口の利便性向上に向けたDX及びBPR」

区役所窓口の利便性向上の必要性

区役所窓口には転入・転居、出産などの手続きに市民が訪れますが、手続きによっては複数の窓口で同じような項目を何度も書かされる、長時間待たされるなどが生じており、市民目線での窓口の利便性向上が求められています。

区役所窓口のDXとBPR

BPRとは既存業務の抜本的な見直しを意味します。区役所窓口のDXにおいて、単なるデジタル技術の導入になっては市民の利便性向上につながらない可能性があり、市民の目線に立った業務の見直しをすることがDXには重要となります。区役所窓口のDX等を進めるに際し、その前提として業務の抜本的な見直しであるBPRを行うことが重要であることは、私たちの会派としても以前から主張してきたところです。

こうしたなか、札幌市として、BPRの考えに基づいて、東区、豊平区、南区の3つの区役所において、各1日、デジタル庁が推奨する窓口利用体験調査を実施した点を評価しています。

この調査では、「障がいのあるお子さんを含む4人世帯が市外から転入してきた」といった条件設定を与えられた若手職員が、事前の下調べなしで、開庁時間中に各窓口で必要な手続を行うというものです。そして、窓口間を移動した導線・距離、申請書に住所・氏名等を手書きした回数、説明・記入・順番待ちなどに要した時間などを調査しています。

マイナンバーカード対応記帳台

区役所窓口のDXは業務改善に向けた取組がスタートしたところと言えます。一方、中央区役所の仮庁舎においては、2024年の3月から、マイナンバーカードの氏名、住所等の基本的な情報を申請書に印字できるシステムとして、マイナンバーカード対応記帳台を試験的に導入しています。利用実績は3月から8月までで881件。そのうち、転入・転居が多い3月・4月で約600件と大半を占め、直近の8月は55件、1日2~3件程度の利用になっています。紙も含めた申請総数に占めるマイナ記帳台の割合は、帳票の種類別にみると多い帳票でも3%弱、大半の帳票は1%未満、なかには1件も利用がない帳票もあったということで、多くの市民に利用されているとは言えない状況になっています。

定森ひかるの「質問」と「提案」

マイナンバーカード対応記帳台だけでは、市民が「複数の窓口に回される」「都度、窓口で待たされる」ことの改善とはなりません。そこで札幌市として区役所窓口のDXをどのように進める考えなのかを質しました。

市からは、窓口利用体験調査などの検証を踏まえ、BPR(業務改善)を進めていくこと、マイナンバー対応記帳台の効果検証も行っていく旨の答弁がありました。

私からは、マイナンバー対応記帳台では窓口DXの取り組みは不十分である点、市民の利便性が向上するBPRを進めてデジタル技術を導入するよう要望しました。

10/21 総務局「職員の働きやすい環境のための「カスハラ対策」と「メンタルヘルス対策」」

札幌市職員へのカスタマーハラスメント対策の取り組み

札幌市は2024年9月2日に「カスハラ対策基本方針」を策定しました。札幌市では、2023年度から広聴部門においてカスハラ防止啓発ポスターの掲示、通話の録音、対応マニュアルの策定などの取り組みが進められ、全国的に注目されてきました。

一方、広聴部門以外の様々な部署でも、カスハラを受けた際にどのように組織的な対応をすればいいのか、カスハラ行為に該当するのか、そのような悩みを抱えており、多くの部署でカスハラ対策の必要性に直面しています。

定森ひかるの「質問」と「提案」

札幌市は「カスハラ対策の基本方針」とともに、「職員が適切に対応できるよう方法や手順を示したマニュアル」も策定しています。そこでこのマニュアルの内容と庁内にどのように展開したかを質しました。

市からは、職員向けのネットワーク環境を活用して情報発信をしていることや、マニュアルを基本に各職場でそれぞれの状況になった対策を講じてほしい旨の答弁がありました。

定森ひかるからは、マニュアルをただ運用するのではなく、各課がそれぞれの事情に合わせた対応方法を職場内で検討することが重要であることを指摘し、カスハラ対策の必要性が高い職場の対策が進むよう行政部の働きかけを要望しました。

札幌市職員のメンタルヘルス対策

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が毎年行う地方公務員へのアンケート調査では、メンタルヘルス等の不調による休職者の数は2022年度には2021年度と比較して12%増加、10年前と比較すると1.8倍にもなっています。札幌市としては、メンタルヘルス不調の未然予防対策として、ストレスチェックや各種研修などを実施し、とりわけ、若手職員に対しては、規採用職員全員を対象にした保健師による個別面談を行っています。

しかしながら、こうした対策による効果はありつつも、休職者数は近年緩やかに増加している現状があります。休職者を減らすための取り組みとともに、休職者がいる職場の負担軽減に向けた取組も重要となります。

定森ひかるの「質問」と「提案」

そこで、メンタルヘルス不調への対応としては、休職した職員のみならず、周囲の職員や職場の負担にも焦点を充てた対策の必要性を述べた上で、札幌市の認識について質しました。

市からは、職員や所属の負担軽減と、より円滑な職場復帰のため、職場におけるリハビリテーション制度を見直したという答弁があり、さらに、2024年度から実施期間の短縮や復職日を前倒しするとともに、名称も「復職トレーニング制度」に改めた旨の答弁がありました。

定森ひかるからは、メンタルヘルス不調というは繰り返すことが多いことを踏まえ、復職を無理に焦り、復職後に再び不調となるようなことがないような配慮を求めました。

10/23 市民文化局「NPOと町内会等の協働を促進する「地域連携促進事業」」

 

10/23 市民文化局「市民意見を政策形成に活かす「新たな市民参加」の取り組み」

 

10/25 子ども未来局「子育ての負担軽減と里親の養育経験に資する「里親ショートステイ」」

 

10/28 教育委員会「子ども達を守るための「いじめ対策」」