10月14日に‘NPO法人ぐるーぽ・ぴの’主催の「「住み続けたい・戻りたいまちさっぽろ」に向けた構想会議」に参加しました。
「若い世代が住み続けたい、離れてもまた戻りたいと思えるさっぽろにするために何が必要なのだろうか」「もっと若い世代の声が反映された市政とするためにどうしたらいいのだろうか」若い世代に直接これらの意見を聞いてみたい!そんな思いから、‘NPO法人ぐるーぽ・ぴの’と吉田徹同志社大学教授の協力のもと、若い世代との意見交換が行されました。
そもそも「政治や政治家は何で身近に感じられないの?」のでしょうか。このテーマについて、政治学が専門の吉田徹同志社大学教授に答えて頂きました。
「くじ引き民主主義」を提唱している吉田徹さんはメディア等で若い世代と政治との関係についてよく論じています。そんな吉田さんは北海道大学の教員をされていた時に、地域の子ども食堂の活動に取り組んできた一面もお持ちで、本テーマにぴったりなゲストです。
吉田さんいわく、日本は国民の政府への信頼が非常に低い国であるそうです。先進諸国のなかでも日本はGDPに占める政府の支出が低い国(いわゆる小さな政府)であり、その要因には政府への信頼の少なさがあると吉田さんは指摘します。
そして、日本はどのような道をこれから歩んでいくのか。政府への信頼を高めて小さな政府から脱却するのか。政府の信頼が低いまま小さな政府を維持するのか、岐路にあるという吉田さんの指摘は非常に示唆に富むものでした。
政治が身近に感じられないのは、そもそも政治が国民に信頼されていない現状があります。
後半はそんな吉田さんの話を受けて、参加者同士で意見交換を行いました。
意見交換のテーマは「住み続けたい・戻りたいまちさっぽろ」。
まず初めに私、定森ひかるから①意見交換をする理由②テーマ設定の理由の二つを説明しました。
まず意見交換を行う理由は、吉田さんの話にもあった「政治への信頼」を少しでも高めていきたいという思いを伝えさせて頂きました。
若者の投票率の低さから「若い世代は政治に無関心だ」と言われることが多々あります。しかしながら、若い世代の無関心に問題があるのではなく、若い世代に信頼されていない政治の側に問題があるのではないか。もっと若い世代の声を聞き、若い世代の声が世のなかを変えいくと実感してもらえる政治が必要だ、そんな思いを皆さんにお伝えしました。
そして「住み続けたい・戻りたいまちさっぽろ」というテーマ。私自身、名古屋出身で大学時代に過ごした4年間の経験があって、名古屋で就職した後も、ずっと札幌にいつか戻りたいと思っていました。札幌には全国・全道から若い世代が集まってきています。その人たちが仕事やさまざまな事情で札幌を離れることになっても、また戻ってきたいと思えるようにするにはどうしたらいいのか、若い世代の皆さんと一緒に考えたいという思いを伝えました。
意見交換は4~5人に分かれて話し合いました。ファシリテーターは本企画のプログラムを一緒に考えてくれた大学生が担ってくれました。
最後には各グループで話し合った内容を全体で共有。参加した方の多くは札幌市以外の出身でしたが、多くの方は札幌市に住み続けたいと思っていました。しかしながら、雪の心配、仕事の面から、住み続けることの課題を感じているという意見は複数ありました。
一方で、札幌のまちづくりに関わり、自分がこのまちをよりよくするための当事者になることが、住み続けたいという思いをもつ原動力になるという意見もありました。
最後に吉田徹さんから、「自治は民主主義の学校」と言われるが、正しくは「タウンシップは民主主義の学校」。まちの未来を話し合う場こそが民主主義を育てるには欠かせない。これからの政治に必要なのは「安心」を届けるだけでなく、シティズンシップ(地域への誇り)をもたらすような政治が必要だ、というまとめの一言を頂き、本企画が終わりました。
非常に学びの多い、あっという間の時間でした。本企画にご協力をくださった皆さま、参加くださった皆さまに感謝します。
(定森ひかる)