2025年3月11日|予算特別委員会・まちづくり政策局
地域の困りごとを解決するアイデアを企業やNPOが持っていても、「札幌市と一緒に取り組みたいけれど、どこに相談すればよいのか分からない」。これまで、そんな壁が官民連携を進めるうえでの一つの課題でした。
人口減少や少子高齢化が進み、地域が抱える課題はますます多様になっています。行政だけですべてを解決するのではなく、企業の技術やノウハウ、NPOが持つ地域とのつながりなど、それぞれの強みを生かして一緒に課題解決に取り組むことが、これから一層求められます。
私はこれまで、官民連携を一部の部署や担当者だけの取組にせず、市役所全体に「協働する文化」を広げていく必要性を議会で取り上げてきました。今回の質疑では、新たに設置された官民連携窓口の成果を確認するとともに、市内の企業やNPOへの広がり、そして市職員の意識や庁内体制について質問しました。
「相談先が分からない」を解消する窓口
札幌市は2024年7月、「SAPPORO CO-CREATION GATE」を開設しました。企業やNPOなどからの官民連携に関する相談や提案を一元的に受け付ける窓口で、市が示した課題に対して提案する「テーマ型」と、テーマを問わず自由に提案できる「フリー型」があります。
市からは、開設から8か月弱で69件の提案があり、コロンビアスポーツとの包括連携協定や、旧札幌NHK放送局跡地を活用した公共空間のあり方に関する実証実験など、16件の官民連携事案につながったとの答弁がありました。当初掲げていた年間5件という連携事業の目標をすでに上回っています。
また、事業者からも「提案窓口が分かりやすくなった」「複数の部署が関係する案件を仲介・調整してもらえる仕組みは画期的」といった声が寄せられているとのことでした。
窓口を明確にしたことで、市役所への提案のハードルが下がり、担当部署との調整も進めやすくなったことは、大きな前進だと考えています。
次は、市内の企業やNPOにも広げる
一方で、69件の提案の約8割は道外の事業者からのものでした。自治体との連携経験を持つ企業などがいち早く窓口を活用するのは自然なことですが、市内の中小企業やNPOからの提案は、まだ限られています。
札幌には、地域に根差して事業を行う多くの企業があります。また、NPOは福祉や子育て、まちづくりなど、それぞれの地域課題を身近なところで捉え、住民とのつながりを持ちながら活動しています。こうした主体が札幌市と一緒に取り組む機会を増やすことが、地域に根差した官民連携につながります。
市からは、市内事業者の積極的な参画も重要との認識が示され、地元経済団体などを通じて窓口を周知してきたほか、市内で官民連携の取組を紹介するフォーラムを開催するなど、様々な機会を通じて関心を高めていくとの答弁がありました。
私からは、官民連携窓口を担当する部署だけでなく、日頃から企業や団体と接点のある各部署からも積極的に周知してほしいと求めました。
「市の課題」を、民間と共有できる形で発信する
官民連携を広げるには、窓口を知らせるだけでは十分ではありません。
「テーマ型」の提案では、市役所がどのような課題を民間と一緒に解決したいのかを示します。だからこそ、単に「札幌市にはこんな課題があります」と発信するだけでなく、行政だけでは解決が難しく、企業やNPOの知恵や技術を借りたい課題を具体的に示すことが、提案につながりやすくなると考えています。
そのためには、官民連携窓口を担当する公民・広域連携推進室だけでなく、それぞれの行政課題を抱えている各部局が主体的に関わることが欠かせません。
官民連携を、一部の部署だけの取組にしない
質疑時点で、「テーマ型」として示されていた課題は32件ありました。そのうち29件が、まちづくり政策局、経済観光局、市民文化局、保健福祉局の4局から出されたもので、課題の発信が特定の部局に集中していました。
業務の性質によって民間事業者との関わりの多さが違うため、すべての部署から同じ数の提案が出る必要はありません。一方、札幌市が掲げる「協働する市役所」を実現するのであれば、官民連携を選択肢の一つとして考える部署を、さらに広げていく必要があります。
そこで、市職員の官民連携への理解を深めるため、どのような取組を行ってきたのかを質問しました。
市からは、全庁を対象とした説明会や関係部局での勉強会を行うとともに、約150人の職員を対象に、官民共創を進める際に行政が配慮すべき考え方などを学ぶ研修を実施したとの答弁がありました。こうした取組を通じて、各部署から公民・広域連携推進室への相談も徐々に増え、民間事業者との対話をコーディネートする機会や、年度途中から新たなテーマ型課題が出てくるケースも生まれているとのことです。
窓口の設置から、「協働する文化」へ
市は今後も職員研修を続けるとともに、庁内のネットワークを活用して官民連携の考え方や事例を発信し、職員の理解や挑戦する意欲を高めていく考えを示しました。
こうした取組をさらに進めるため、私からは、官民連携窓口で生まれた実績や効果を職員にも積極的に共有するよう求めました。実際の成功事例を知ることで、「自分たちの部署でもできるかもしれない」と考える職員や部署が増えていくことが期待できます。
また、担当者だけでなく、組織の判断を担う役職者が官民連携への理解を深めることも大切です。職員が新しいアイデアを提案したときに、「まずやってみよう」と後押しし、仮にうまくいかなかった場合も、その経験を次につなげられる組織であることが、官民連携を一過性の取組にしないためには欠かせません。
官民連携は、企業に仕事を任せることでも、行政の役割を減らすことでもありません。行政と企業、NPOなどがそれぞれの強みを持ち寄り、「一緒に課題を解決する」という関係をつくることだと考えています。
窓口ができ、具体的な連携事例も生まれ始めました。次は、市内の企業やNPOからの提案をどこまで増やせるか、そして官民連携が一部の部署にとどまらず、市役所全体の選択肢として根付いていくかが問われます。
今後も議会で、提案する事業者の広がりや各部局から出される課題、実際に生まれた連携事業の成果を確認しながら、公民・広域連携推進室をハブとして、市役所全体に「協働する文化」が広がるよう取り組んでいきます。
