2025.03.28

2025年第1回定例会のご報告② 予算特別委員会【前半】

定森ひかるが2025年第1回定例会の予算特別委員会で質問をしたテーマについて概要となります。環境局、まちづくり政策局の質問を掲載しています。どのような問題意識で質問をしたのか、提案内容も含めてお伝えします。各質問は、札幌市議会のHPから録画映像を見ることができます。
2025年第1回定例会録画:https://sapporo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=gikai_days_list&gikai_id=211

3/7 環境局「気候市民会議の意見を踏まえた『札幌市気候変動行動対策』の見直し」

札幌市では、地球温暖化対策の柱として掲げる「札幌市気候変動対策行動計画」の見直しが進められています。3月7日の環境局に対する質疑で、計画の進捗状況や市民参加の取組、そして今後の見直しの視点について質問しました。

温室効果ガス削減の進捗と課題認識

この行動計画は、2030年までに2016年比で55%の温室効果ガス削減を目指す高い目標を掲げており、札幌市がGX(グリーントランスフォーメーション)金融・資産運用特区として脱炭素と経済成長の両立を図る上でも、重要な施策です。しかし、2022年度の温室効果ガス排出量の速報値は1022万トンと、前年からわずか0.4%の削減にとどまり、2016年比でも14%の削減にとどまっています。

そこで、この進捗を踏まえ、現時点での課題について質問しました。

市の答弁では、市内の排出量のうち約3分の1を家庭部門が占め、その中でも暖房エネルギー消費が大きな要因となっていることが示されました。そのため、住宅の断熱性や気密性を高める省エネ化の取組や、再生可能エネルギーの一層の普及が必要であるとの認識が示されました。

目標達成には、これまで以上に対策を加速し、特に家庭部門でのエネルギー使用の見直しが急務であるといえます。

気候市民会議の開催と市民意見の反映

今回の計画見直しでは、従来の審議会に加え、新たに「気候市民会議」が開催されました。これは、無作為抽出された市民が専門家の話を聞きながら議論する「ミニパブリックス」の手法を取り入れたもので、私たち会派が以前から提案していたものです。

そこで、気候市民会議でどのような意見が出され、計画見直しにどう反映されるのかを質問しました。

市からは、「住まい」と「移動」をテーマに3回の会議を開催し、意見提案書として取りまとめたとのことでした。太陽光発電設備の導入については、積極的な意見と慎重な意見の双方が寄せられたとのことです。これらの提案は、計画素案づくりに活用され、「札幌市環境審議会」および「行動計画検討部会」に報告されるとのことです。

気候市民会議を計画見直しの初期段階で実施したことは、非常に意義深いものだったと評価しています。市民の声を反映させた政策とすることで、より多くの市民に納得される行動計画となることが重要だと考えます。

今後の見直しの視点と全庁的な対応

行動計画の見直しにあたっては、気候市民会議での意見だけでなく、国内外の先進事例や政策動向の調査結果も活用されることになっています。

そこで、気候変動対策は環境局だけで完結できるものではなく、全庁的に進めるべき課題であると考え、見直しにあたってどのような視点を重視しているのかを質問しました。

市からは、現行計画の進捗に加え、先進事例から学んだ建物の省エネ化や公共交通の脱炭素化などの有効な取組を踏まえ、気候市民会議の意見も活用しながら、全庁的に取り組んでいく方針であるとの答弁がありました。

定森ひかるの「提案」

行動計画の見直しは、目標達成に向けて本市が大きく舵を切る重要な機会です。以下の点を提案しました。
1.各部局が主体的に排出削減策を講じること
 環境局だけでなく、各局が自らの役割と責任を持ち、具体的な削減施策を進めるべきです。
2.GX特区の強みを活かし、再生可能エネルギーの導入を促進すること
 民間投資を引き出し、住宅や事業所への再エネ導入を加速させることが求められます。
3.市民意見を尊重しつつ、施策の合意形成を丁寧に行うこと
 太陽光発電のように意見が分かれるテーマについても、市民の声を踏まえた丁寧な説明と対応が必要です。

気候変動対策は、2030年、そして2050年のゼロカーボンシティの実現に向けて着実に進めていくべき課題です。
札幌市の未来を見据え、市民とともに歩む気候政策となるよう、引き続き取り組んでまいります。

3/11 まちづくり政策局「地元企業・NPO等への周知強化等による『官民連携の促進』」

札幌市では、人口減少・少子高齢化により複雑化する地域課題に対応するため、企業やNPOといった民間事業者との連携を強化し、「協働文化」の醸成を進めています。3月11日のまちづくり政策局に対する質疑で、その取り組みの実績と課題、そして今後の方向性について質問しました。

官民連携の実績と事業者からの反応

昨年7月に開設された「SAPPORO CO-CREATION GATE」は、民間からの提案や相談を一元的に受け付ける官民連携の窓口です。テーマに基づく「テーマ型」と自由提案の「フリー型」の2種類の提案受付を設け、年間100件の提案、5件の協働事業成立を目標に掲げてスタートしました。

そこで、これまでにどのような事業者から提案があり、実際にどれだけの官民連携が成立したのか、また、事業者の反応について質問しました。

市の答弁では、窓口開設から今年2月末までに、計69件の提案が寄せられ、うち約8割は道外企業からのものであった。その中から16件の官民連携事業が実現し、コロンビアスポーツとの包括連携協定や、旧NHK跡地の利活用実験などが含まれる。事業者からは、「窓口が分かりやすくなった」「複数部署を調整してくれるのが画期的」といった声もあり、一定の評価を得ているとのことでした。

地元事業者との連携をどう促進するか

目標を大きく上回る成果は評価できますが、提案の中心が道外企業であり、市内の中小企業やNPOの参画はまだ限定的である点が今後の課題です。地域課題に精通したNPOや、地元経済を支える市内企業の連携参画を進めることが、より実効性ある協働につながります。
そこで、札幌市内の事業者に対して、官民連携に参画する意義をどう伝え、機運を醸成していくのかを質問しました。

市では、地元経済団体を通じた周知を行ってきたほか、3月17日には市内で官民連携に関するフォーラムを開催予定。今後は、成功事例の蓄積や、機会をとらえた周知活動を通じて、地元事業者の関心を高めていきたいとのことでした。

市内事業者と連携を進めるには、窓口の存在だけでなく、発信内容の工夫も必要です。たとえば、「取り組みたいが行政だけでは解決が難しい課題」を具体的に示すことで、民間の関心と知見を引き出しやすくなると考えます。

職員の理解促進と庁内体制の強化

そして、何よりも、協働文化の実現には、職員一人ひとりが「協働」の意義を理解し、実践することが欠かせません。

そこで、市職員の官民連携に対する理解促進のための取組と、来年度に向けた対応について質問しました。

市からは、官民連携の推進にあたっては、職員の理解促進が重要であり、全庁説明会や勉強会を実施してきた。昨年末には横浜市の元担当者を講師とした研修を開催し、150名が参加。こうした取組により、各部署から公民・広域連携推進室への相談が増え、年度途中からテーマ型課題を出すケースも出てきている。今後も研修や庁内イントラでの情報発信を強化し、職員の理解と挑戦意欲の向上を図っていくとのことでした。

職員の意識変化が徐々に広がっていることは心強い動きです。特に、他部署の成功事例を共有し、学び合える庁内環境の整備や、役職者向け研修の実施が、官民連携の文化を組織として根付かせる鍵になると考えます。

定森ひかるの「提案」

「協働する市役所」を実現していくために、以下の提案を行いました。
1.地元企業・NPOなど市内事業者に対する周知強化と、課題の具体的な発信
2.官民連携の良質な事例の共有と庁内の学び合いの仕組みづくり
3.役職者向けの研修等を通じた、組織全体での官民連携への挑戦の後押し
4.職員が「ともに課題解決に取り組む」という視点を持つ組織文化の醸成

公民・広域連携推進室がハブとなって、札幌市全体で協働の輪が広がっていくよう、今後も議会で取り組みを後押ししてまいります。

3/11 まちづくり政策局「『地域おこし協力隊』の活用」

札幌市では、若い世代への移住促進・定住支援を強化する新たな施策として、2024年度から「地域おこし協力隊」の導入を予定しています。3月11日のまちづくり政策局への質疑において、その導入の意義や支援体制、今後の展望について質問しました。

地域おこし協力隊導入の意義と支援体制

地域おこし協力隊は、これまで過疎地域を中心に導入されてきた制度ですが、近年では政令指定都市でも積極的に活用が進んでいます。
本市でも、道外からの移住者を受け入れ、「札幌市移住促進地域おこし協力隊」として、地域の魅力発信や移住相談対応、SNS・動画を活用した情報発信を担ってもらうことが想定されています。
地域おこし協力隊は、移住者の視点をまちづくりに活かすとともに、地域に根ざして活動したい若者や社会貢献意欲のある人材の受け皿となるものであり、本市にとっても極めて意義深いものであると考えます。、一方で、他都市の事例では、新たな地域での人間関係づくりや生活環境への適応に苦労し、十分に力を発揮できなかった隊員も少なくありません。

そこで、札幌市として地域おこし協力隊員の活動をどのように支援していくのかを質問しました。

市からは、市職員による支援に加え、伴走支援を担う事業者を選定してサポートを委託することで、安心して活動できる体制を整えるとのことでした。支援内容としては、日常生活の相談や活動面でのきめ細やかなフォローが行われる予定です。

制度の運用にあたっては、行政だけでなく、伴走支援事業者との連携により、隊員が地域で主体的に動けるような環境整備が鍵となると考えます。

任期後を見据えたキャリア支援の重要性

地域おこし協力隊は、任期(最大3年)を通じて地域と関わり、その後も地域に定着・活躍してもらうことが大きな目的です。総務省の調査でも、任期後に起業や就業につながった隊員が多く、定住率は約65%とされています。

そこで、札幌市で初めての協力隊員となる方の「3年後」をどう描いているのかを質問しました。

市からは、三大都市圏からの移住者数の増加や札幌圏の魅力向上への貢献を期待するとともに、任期終了後も札幌市で活躍し続けてもらうことを想定しているとのことでした。そのために、創業支援制度の活用、就業サポートセンターによる職探し支援、交流会などによる人脈形成支援など、3年後を見据えたサポートを行っていくとの答弁がありました。

一過性の取り組みに終わらせず、3年間で築いたネットワークや知見を活かし続けられるような支援が重要と考えます。

定森ひかるの「提案」

地域おこし協力隊の制度を札幌市において効果的に活用していくために、以下の点を提案しました。
1.任期後のキャリア支援を明確にし、起業・就職・市との連携など多様な選択肢を用意すること
2.隊員の知見や経験を市の施策に反映させる仕組みを整備すること
3.本取組をモデルケースとし、他分野にも拡大可能かを検証し、制度の活用範囲を広げること

移住促進の担い手である地域おこし協力隊が、地域で活躍し続けられるよう、市としての支援と受け入れ体制の充実が鍵となります。
今後の取組が市全体に波及し、札幌の新たな担い手育成につながることを期待して、引き続き議会で取り組んでまいります。